1.いちごグリーンインフラ投資法人の財務内容
いちごグリーンインフラ投資法人について、中小企業診断士の本業である決算分析
をおこなっていく。
(1)資産の部
2018年6月期の財務のうち、資産の部の構成は以下の通り
流動資産 | 12.8億円 | |
現金及び預金 | 9.3億円 | |
営業未収入金 | 2.6億円 | |
その他 | 0.9億円 | |
固定資産 | 109.0億円 | |
土地 | 2.1億円 | |
太陽光発電設備 | 105.6億円 | |
投資その他資産 | 1.3億円 | |
繰延資産 | 0.7億円 | |
資産合計 | 122.5億円 |
非常にシンプルな構成である。
総資産の86%は太陽光発電資産にあり、当たり前であるが、収益を生み出す
資産のみに投資している。
現金及び預金は9.3億円保有しているが、配当金総額は4.4億円であり、
資金繰りに困ることもない適度な保有になっている。
損益計算書の減価償却費が6.3億円であるから、太陽光発電設備は残り
16.8年での償却をすることになる。
設備稼働からの加重平均の経過年数は3年5か月であることから、固定買取期間
内に資産の償却も終わることができるので、償却の方法も合理的とみられる。
(2)負債、純資産の部
流動負債 | 4.8億円 | |
営業未払金 | 0.1億円 | |
1年以内返済の長期借入金 | 4.2億円 | |
その他 | 0.4億円 | |
固定負債 | 67.3億円 | |
長期借入金 | 67.3億円 | |
純資産 | 50.3億円 | |
負債純資産合計 | 122.4億円 |
1年以内返済の長期借入金4.2億円+配当金総額4.4億円=8.6億円。
この金額は「現金及び預金」の9.3億円より少なく、資金繰りは安定している。
1年以内返済の長期借入金4.2億円であることから、借入金の返済ペースは
17年であり、これも20年の固定買取期間内に完済することを設計した返済
方法となっている。
実際の借入金の状況は以下のように期間10年の借入になっているため、一部
をバルーンにして、10年後に借換を予定している仕組みを組んでいるのだろう。
10年で金利も固定されているので、その間の金利上昇リスクもヘッジされている
2.まとめ
いちごグリーンインフラ投資法人の財務内容は、長期安定するように仕組みがなされ
ており、毎年の収益により安心して資金を回すことができる内容になっている。
固定価格買取制度の期間内に現状の借入金はすべて完済できる内容になっており、
買取価格が変化するまえに、身軽な財務内容になる。
次回は損益計算書についてもみていく